目次
1 公平説と類型論
公平説とは、不当利得制度を、実定法上の諸制度の上位に君臨し、これらの制度で実現できない公平の理念を実現するものと位置付ける立場である。
これに対して、類型論とは、単なる公平以上の具体的な基礎づけを求めて、不当利得制度を「法律上の原因」ごとに多元的に構成するものである。
2 不当利得の類型
(1) 給付利得(給付の巻き戻し)
…121条の2、545条(直接効果説)
改正法は、新たに121条の2を新設した。これは、類型論に立った表れである。本章では同条について述べる。
なお、705条から708条は、給付利得の特則である。
(2) 非給付利得(給付利得以外)[1]
…703・704
給付利得以外の場合、703条及び704条が適用されると考えればよい。本章では同条について述べる。