2021年11月7日 ツイッターDMにて ゆっこさんより
【質問】
一つ質問させていただきたいことがあります。
- 民法462条2項より、主債務者の意思に反して保証した保証人の求償の範囲は、主債務者がその求償時に利益を受けた限度ですが、それは「保証人による弁済額ー求償前に免れた債権額(相殺などの反対債権額)」という意味であり、反対債権などがなかった場合は、保証人による弁済額が求償の範囲であるという解釈でよろしいでしょうか。
- また、その求償の限度は、121条の2第3項における現受利益と同じ意味ですか?
【かず回答】
➀そのような解釈で構いません。
なお、利息は請求できません。意思に反しない場合であっても、利息や損害賠償をを請求することができないのですから(462条1項は459条の2第2項を準用せず)、意思に反する場合も当然そのようにいえるからです(もちろん解釈)。
②異なっています。
462条2項前段の「現に利益を受けている限度」とは、主たる債務者が求償を受けた時点における利益をいいます。
対して、121条の2の「現に利益を受けている限度」とは、制限行為能力者であることを理由とする取消しを想定すると、取消しの時点で受けている利益となります。
前者が保証人の求償権発生の後の時点であり、他方、後者が制限行為能力者の相手方の返還請求権発生時点である点で、両者は異なっています。
つまり、121条の2第3項の言う現受利益における「出費の節約」の考えとは異なると考えてもよろしいということでしょうか。
何度も申し訳ありません
そうですが、もうちょっと深く考えてみて下さい。
121条の2第3項の趣旨は、制限行為能力者がその判断能力が不十分であるために、受けた利益を浪費することがあることから、全額返還による不利益を被らないようにすることにあります。
そして、取消時点で制限行為能力者側はもはや利益を保持することはできないと認識しているわけですから、取消時点以後は、節約のない浪費についても全額返還義務を負うと解されます。
このように、請求する側にとって、121条の2第3項の場合は、判断時点以降はチャンスが増えるのに対し、 保証人の求償の場合は、返還する利益の判断時点が後倒しになるほど、請求額が減るリスクが増しているわけですね。
趣旨の違いです。
「自分の頭で考えて未知の問題に対応する力」をつけるため、 質問では自分なりの思考の過程を示して、そのすり合わせを行う態度を身につけると、実力になります!
丁寧にご返信くださりありがとうございます。
わかりました!これからはもう少し深く考えるように努力します。
本当にありがとうございました。
本質に遡ろうとする態度が、立体的な制度理解、応用力に繋がる。
その力を養う意識をして、学習をしていこう!
なお、このような思考法を身に着けるためのおススメ書籍が、『思考の整理学』(外山 滋比古 とやましげひこ)だ!
近々、この本の「ざっくり一言」を公開するから、お楽しみに!
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