【鬼怒川温泉のお猿さんに学ぶ】酒より気持ちいい「オキシトシン的幸福論」

(2024年4月10日加筆:参考文献『つながりを、取り戻す』アルコール依存と性被害のトラウマから立ち直るために必要なこと(福岡雅樹、斎藤章佳、竹内達夫))

こんにちは、こんばんは、魅力発見心理コーチのかずです。

本記事を読むと、

  • イライラして同僚や社員にきつく当たってしまい、人間関係が上手くいかない
  • 彼女ができないで孤独死するのではないか、老後のお金のことなど、将来が不安
  • やめたいのに、タバコやアルコール、ポルノ動画、Xでのきつい言動がやめられない

あなたがおっさんでも、「お母さんに抱かれていた赤ちゃんだったころ」の絶対的安心感を取戻し、前向きになってどんどん新しいことにチャレンジして、成功して、男女ともに好かれるようになるなります!

また、SEXで、

  • 勃起しない、濡れない
  • SEXが楽しくなく、レス

の方が、これまで一度も味わったことのないような、人生で一番気持ちがいい真のSEXができるようになりますので、ぜひ最後まで読んで下さいな!

はじめに~ボトルジョージとアルコール依存症と、SEXと~

おめでとう!

キンコン西野亮廣(あきひろ)さんが原案・脚本・製作総指揮のコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』がアメリカでもっとも歴史のある映画祭「サンフランシスコ国際映画祭」にノミネートされ、来月(2024年4月)にサンフランシスコにて上映されることになりました。


「サンフランシスコ国際映画祭」は、アカデミー賞候補に上がる作品の登竜門の一つとも言われ、アメリカ国内の映画祭の中でも注目度の高い映画祭です。

『ボトルジョージ』は、アルコール依存症をテーマにする映画です。

このアルコール依存症って、世界に対し、どんな影響を与えているのでしょうか?

アルコール依存症の世界に対する影響

アルコール依存症世界保健機関(WHO)は22日までに、世界で2016年にアルコール依存症など飲酒による健康障害に苦しんでいる成人(15歳以上)が推計2億8300万人に上ったとする報告書を発表した。過度の飲酒は欧米などの高所得国で深刻な健康問題をもたらしている。

WHOは、飲酒により健康に何らかの問題がある場合を「アルコール使用障害」と定義。
世界の成人人口の5.1%にこの症状がみられるとした。日本は3.4%

このうち仕事や家庭よりも飲酒を優先させるようになる依存症は世界で推計1億4400万人で、成人人口の2.6%日本は1.1%で、米国7.7%、韓国5.5%。欧州ではベラルーシ11%、ハンガリー9.4%など高い国が目立つ。

引用:飲酒の健康障害2.8億人 WHO、高所得国で深刻』 日本経済新聞

「仕事や家庭よりも飲酒を優先させるようになる依存症」とは、たとえば、生活保護費で酒ばかり買って食事もろくにとらず、仕事もしない人だったり、「酒ねえだと!すぐ買ってこい!バシッ!」ような悲劇のことでしょう。
これが、100人に1人。

しかし、もっと多いはず。

アルコール依存症は、別名「否認の病」と呼ばれています。顕在化しにくいのです。

だれが、唯一の快楽を奪われたいでしょうか?

あとで詳述しますが、僕の母も、僕の元カノも、少なくともグレーゾーンにはいます。
しかし、本人たちは自分は正常であると振舞います。

さらにさらに。

うつとアルコール依存は互いに誘発しあう関係にあります。

ですから、「アルコール依存症予備軍」がかなりいて、その中にはもうすでに、隠れて実戦配備されている「隠れアルコール依存症」の方もいらっしゃるでしょう。

日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。

参考:こころの病気を知る  NCNP精神保健研究所

コロナ禍での「コロナうつ」も問題となりましたよね。

これまで当たり前のことに出来ていたことが出来なくなる不自由さ、感染の恐怖、コロナ感染による親しい人の喪失、失業など……新型コロナウイルスの感染が拡大し、さまざまな面で社会不安が増大しています。

こうした背景を受けて、経済協力開発機構(OECD)は、人々のメンタルヘルス状態を調査してみたところ、なんと新型コロナウイルスの感染拡大以前と比べれ、うつ病の人の割合が2~3倍に急増していることがわかりました(参考「読売新聞オンライン」)。

もっと細かくみてみると、うつ病者の割合は、日本では約2倍、アメリカでは約3倍強という驚くべき結果となっています。

精神科の医師らの話によると、新型コロナウイルスの感染拡大、コロナに関連したうつ病の症状を訴える人が明らかに増えてきているそうです(参考「PRESIDENT Online」)。

引用:あなたは大丈夫?急増する「コロナうつ」の症状や原因について 社会医療法人博友会

そして、そして、アルコール依存症、うつ、自殺は、「死のトライアングル」と言われ、アルコール依存×うつは、「自殺大国」たる我が国の定番ルーティンとなっているのです。

平成10年から、わが国の自殺者は年間3万人を超え、その後10年あまりこの状態が続きました。
国としてさまざまな対策が打ち出される中、当初は、自殺の背景にあるアルコール問題には目が向けられていませんでした。
しかし最近になって、「アルコール・うつ・自殺」の関係が浮かび上がっています。

「自殺予防総合対策センター」が平成19年度~21年度に行なった調査で、自殺者の2割以上が、亡くなる前の一年間に飲酒問題を抱えていたことがわかりました。
その中心となる層は40~50代の男性有職者です。
かつ、この人々は平均して2つの精神疾患を抱えており、中でも「アルコール使用障害」と「うつ病」との合併が多く見られました。
4割以上は実際に、うつ病などで精神科を受診していましたが、アルコールに関連した治療や援助を受けていた人は皆無でした。

一方、同センターが全日本断酒連盟の協力を得て実施したアンケート調査では、アルコール依存症者はきわめて高い割合で、自殺念慮や自殺企図を経験していることもわかっています。

引用:アルコール・うつ・自殺……「死のトライアングル」 特定非営利活動法人 ASK

明日は我が身。
アルコール依存症は、他人事ではないのです。

そして、無視できない幸福度的損失といえそうです。

かず
かず
ボトルジョージが、ここに一石を投じてくれてよかったです。みんなで考えたいですね

話しは変わるけど、変わらない「オキシトシン」

ところで、僕は、勃起力などの男性機能を高め、男女共に最高に気持ちがいいSEXについて研究してます。

そして、今、「マインドフルネスSEX」というコンテンツを作っていて、そこではオキシトシンというつながりを感じる神経伝達物質をまず出しまくるのが、最高に気持ちいいSEXの土台だという話しをしてます。

インスタで好評連載中の、僕の彼女(先生)との「鬼怒川温泉鬼祝い旅行」で、ひなたで毛づくろいしているおさるさんを見て、インスピレーションを得ました。

 
 
 
 
 
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かず
かず
↑ここで紹介されている「前戯オイルマッサージ」は、「マインドフルネスSEX」のテクニックの一つです

日本人夫婦の7割はセックスレスです。
男女ともに気持ちがよく満足できるSEXは、幸福度を高め、少子化を食い止めるために大切ですよね。

参考:日本人夫婦の7割はセックスレス…1万人を調査した社会学者「結婚しても子どもが生まれるかは別問題である」 PRESIDENT ONLINE

実は、最高のSEXの土台となるその「オキシトシン」が、アルコール依存症やうつなどの精神疾患の根本治療、原因療法にもなるのです。

オキシトシンとは(っていうか主要な神経伝達物質全部、表でまとめた)

やったりました。

オキシトシンだけでなく、「三大神経伝達物質」といわれる他の神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)についても、表で一緒にまとめました。

これを見れば、不幸の原因と、幸福になるための要因、全てがわかります。

名前気持ち・感情身体反応(自律神経)作用過剰による弊害出る時
①オキシトシン愛情、一体感緩和(副交感神経亢進)・性ホルモンの活性化(女性→母性的な気持ちになる、おっぱいが大きくなる、女性器を柔らかくし濡らすなど。男性→勃起力、射精力のアップ)
・セロトニンを活性化させることで、ストレスからくる病気(依存症を含む精神疾患、糖尿病、高血圧など)の根本を断つ
「幸せを失うことへの不安」「幸せを壊すものへの攻撃」・受容的なおしゃべり、承認
・信頼できる他者(人や動物)との直接的な肌の触れ合い(抱擁やハグ、マッサージ、愛撫、性交渉)
②セロトニン前向き、安心感緩和(副交感神経亢進)・脳疲労の低減
・メラトニン分泌による睡眠改善
・ドーパミンとノルアドレナリンの過剰分泌を抑制し、自律神経のバランスを整える
抗うつ薬の過剰摂取による「セロトニン症候群」では、震え、発熱、発汗、不安・焦燥感・オキシトシンが出たとき
・日光を浴びる&リズム運動(朝の散歩がベスト)
・5大栄養素意識してバランスよく食べる
③ドーパミン達成感、やる気緊張(交感神経亢進)・ワーキングメモリの活性化(情報処理能力、集中力、注意力UP)
・記憶力UP
・射精
・ノルアドレナリンに変化する(前駆体)
・分泌箇所の局所化→統合失調症
・受容体の鈍麻→依存症(タバコ、アルコールなど)
目標達成、より大きな目標設定
→小さくステップアップしていく「強化学習」が有効
④ノルアドレナリン(脳)・アドレナリン(身体)恐れ、分離感緊張(交感神経亢進)闘争か逃走(交感神経の働きを最大化させる)
→「締切り効果」「宣言効果」で退路を断つ

・受容体が過敏に→全般性不安障害(不安神経症)、PTSD
・枯渇→うつ
・ドーパミンが出て変化したとき

オキシトシンとは、神経伝達物質の一つであり、つながりや愛情を感じる幸せホルモン一つです。

信頼できる人との直接的な肌と肌との触れ合いや、承認し合う受容的なコミュニケーションで出ます。

作用としては、以下のようなものです。

  1. セロトニンを出し、ストレスからくる病気(精神疾患や糖尿病や高血圧など)の根本原因を断つ(セロトニンはドーパミン・ノルアドレナリンの過剰分泌を抑制する)
  2. 性ホルモン分泌(テストステロン→男性の勃起力や射精力を高めたり、エストロゲン→母性的な気持ちにしたり、おっぱいを大きくしたり、女性器を濡らしたり柔らかくしたりする)

オキシトシンが、アルコール依存とSEXレスの原因を断つ!(オキシトシン仮説)

アルコール依存について

まず、アルコール依存症の原因とは何なのでしょうか?

日常の人間関係での継続的なストレス(=オキシトシン不足)→セロトニンの不足→アルコールで快楽→ドーパミンの依存性>セロトニン→アルコール依存症

ドーパミンは、正常値内で働けば、「やった!」という達成感を感じさせ、人間を次なるより大きな目標に向かわせます。

そのために、ドーパミンには、「あきる」という性質があり、一度経験したレベルの達成感では飽き足らず、次へ次へとより大きな達成感を求めます。

ドーパミンは、人間に有益で必要不可欠なチャレンジの神経伝達物質なのであり、だから、依存性があるのです。

しかし、それを制御するオキシトシン的・セロトニン的な「ほのぼの幸福感」がないと、暴走し、マイナスに作用します。

感じられる唯一の幸福感がドーパミンであるため、どんどんのめり込んでしまうのです。

これが、アルコール依存症のメカニズムであり、原因です。

SEXレスについて

セックスレス の原因は、簡単でしょう。

男女どちらか、あるいは双方が「気持ちよくない」→しない1

では、どうすればSEXが気持ちがよくなるのか。
そこに、神経伝達物質が絡んできます。

SEXの気持ちよさは、

  • 「オキシトシン的気持ちよさ」
  • 「ドーパミン的気持ちよさ」

に分けられます。

オキシトシン気持ちよさとは、会話やスキンシップで得られる愛情や一体感です。

そして、上記のようにオキシトシンが出ると、男女ともに性ホルモンを分泌し、男性であればテストステロンにより勃起力や射精力を高めたり、女性であればエストロゲンにより、女性器を濡らしたり、柔らかくします。

これが、次に述べるドーパミン的気持ちよさの土台であり、その働きを適切にマネジメントする、リーダーとなります。

ドーパミン的気持ちよさとは、オーガズムで得られる快楽です。

このドーパミン的気持ちよさは、オキシトシンが十分出てないと、スイッチングが上手くいかず、高まりません。

男性が性的に興奮して、ペニスが充血して勃起するプロセスでは、副交感神経が優位になる。
副交感神経は血管を緩めて血流を促してくれるから、ペニスを満たす海綿体という毛細血管の固まりが充血するのだ。

射精する際は、一転して交感神経が優位となり、精液が前立腺内に送られる。
続いて精液が逆流しないように、膀胱の出口をシャットアウト。
筋肉が収縮して精液が体外へ射出される。

「勃起から射精までの過程で副交感神経と交感神経のスイッチングを行うのがSEGニューロンであり、それをオキシトシンがコントロールするのです」

引用:上記ツイートのサイト(Tarzan)

かず
かず
ソープとか風俗で全然興奮できないのは、こういう理由です。愛情がないからです(なのに依存してしまうのは、日常でオキシトシンが不足しているからです)。

だから、SEXの本当の気持ちよさを味わいたいなら、信頼できるパートナーとの、愛情あふれる前戯が大切なんですね。

それを最高値で満たそうとするのが、僕の開発している「マインドフルネスSEX」です。

オキシトシン仮説~精神疾患とSEXレスの密接な関係~

このように、現代の日本を大いに蝕む①アルコール依存症をはじめとする精神疾患、そして、②SEXレスは、両方元をたどれば、オキシトシンの不足が招いています。

つまり、「精神疾患を患っている人は、SEXレスの可能性が高い」ということです。

これが、僕の提唱する、「オキシトシン仮説」です。

これは、僕のナンパ師時代や卒業後の恋愛経験、そして母親との関係で、体で例証できました。

たとえば…

ヒーリング・ワークショップをやる会社に務めていた時の元カノ

  • 不安症(好き?楽しい?とかデート中にめっちゃ聞いてくる)
  • めっちゃ飲む&SEX依存からのレス(「中イキしたいしたい」とおねだり。プレッシャーでレスに)
    →愛をこめてスキンシップを楽しむ意識で、頭なでたり安心させる愛撫したら、何かが「開いて」めっちゃ感じた
    →背後には、心の傷がある。彼女は小学校のときレイプされかけたことがある
    →男性に不信感があって、心から繋がれない
    →オキシトシン不足

母親

  • ヒステリー&キッチンドリンカー
  • 父親とオープンマインドなコミュニケーションがほとんどなく、SEX不足
    →「家を守らなければ」という期待に囚われ、自己犠牲的でストレスをため込む
    →「自由に世界を飛び回っている姉」との幼少期からの確執があり、それが上記自己犠牲的な性質を醸成した
    →オキシトシン不足

アルコール依存症、SEXレスの根本治療

では、どうすれば、アルコール依存症、SEXレスを根本的に治療できるのでしょうか?

  1. 薬でセロトニンを強制的に増やす?
  2. 職場などのストレスのある環境を変える?
  3. 別の刺激物でストレス発散?

僕は、これらでは不十分だと思ってます。

上記の様に、精神疾患やSEXレスの人には、本当の自分を表現できないという、人間関係一般への恐怖感があります。

それは、薬で一時的に止めても、環境を一時的に変えても、別の刺激物(例えばポルノ動画とか、ホストとか…)で一時的に埋めても、一生ついてくるのです。

つまり、何かに依存して繰り返してしまうという現状は変わりません。

オキシトシンが不足しています。
それは、過去から連綿と続く、繋がりです。

僕がビジョン心理学を経て身に着けた「魅力発見」という技は、そこに潜っていっていって、本当の自分と本当の人間関係をサルベージすることです。

人とは、今も昔も、外も内も、全体の一部です。

時間の一部であり、世界の一部です。
そして、一部が集まって全体を創っているのです。

それが、瞑想を超えた、真のマインドフルネスです。

あとがき

「オキシトシン仮説」いかがだったでしょうか?

まさか、アルコール依存症を含む精神疾患と、SEXレスの原因が同じだとは思わなかったのではないでしょうか?
そして、結構信憑性あると思いませんか?

「オキシトシン仮説」は、精神科医や学者も見れていません。

このように、ある事情の奥を見通して、共通点(本質・法則)を見出す力が、僕が人生を通じて学んできた「法的思考力」であり、それがビジョン心理学を通じて「魅力発見」に昇華したんです。

かず
かず
すごいでしょ♪

魅力に基づくなくならないスキルがあれば、一生安心です。
たまに失敗しても、かならず繋がりを作って、食っていけます。

だから今も、引き続き、チャレンジして、育めているんです。
今度は、「読解力」という文脈です。

https://twitter.com/Kazu_charmcoach/status/1773985549898170520

記事にするので、楽しみにしててね!

オキシトシン仮説を検証するための文献

かず
かず
アルコール依存症や神経伝達物質に関する文献を、メルカリから取り寄せ中です。
上記「オキシトシン仮説」を信用性ある書籍で検証し、「オキシトシン的幸福論」に昇華させます

『つながりを、取り戻す』アルコール依存と性被害のトラウマから立ち直るために必要なこと(福岡雅樹、斎藤章佳、竹内達夫)

つながりを、取り戻す。
アルコール依存症と性被害のトラウマから立ち直るために必要なこと。

性被害の母から性被害に遭った息子。
依存症を支援し続けるソーシャルワーカー。
依存症の回復を模索し続ける伝説の医師。

弱っているときこそ必要なもの。それが、「つながり」。

~家族を壊したのは、母の意思ではなく、アルコール~

物心ついた頃から母親は一日中お酒を飲んでいた。両親は毎晩ケンカをしていた。
家族がうまくいかないのは、母親の酒のせいだと気が付いた福岡雅樹少年は、学校から帰る たびに母から酒を取り上げ、シンクに流していった。 それでも母親は酒をやめられず壊れていく。
ある日少年は、母親から性的虐待を受けた。 まだ幼かった少年は、それが罪だとも知らずに母を受け入れた。その後、両親は別居。 母は亡くなった。母を奪ったアルコールが憎かった。
だけど少年は大人になり、自分も母と同じ病気になってしまう。そこからどのようにアルコール依存症を克服し、現在に至るのか?
依存症を支援し続けるソーシャルワーカー・斉藤章佳と、 依存症の回復を模索し続ける医師・竹内達夫との「語り」から見えてきた、 この冷たい日本を生きていくための処方箋!

「悪いのは母親ではなく、この液体なのだ。この液体が、母をモンスターにしてしまっ たのだと……その後しばらくして、両親は離婚しました」 ―――福岡雅樹

「この疾病は決して〈自業自得〉でも、〈自己責任〉でもないのです。本当に嫌な言葉 ですよ。最近流行の〈自己責任〉というのはね」 ―――竹内達夫

「自己責任だと断罪する国というのはカミングアウトしにくいですし、助けを求めにく い世界です。それよりも〈回復責任論〉を大切にしたいと思っています。これは、依存症という病気になった責任は個人にはないけれど、そこから回復に取り組む責任はある よ、という考え方です」―――斉藤章佳

Amazon本書紹介文より引用

「自分は、2016年9月12日に逮捕されました。原因はアルコールです。自宅で妻と口論となり、妻のバックを力任せに引っ張ったら、妻はバックに引っ張られて床に倒れました。
妻は玄関から逃げ出し、110番しました。DV被害に遭ったとして、自分を警察に突き出しました。不起訴になりましたが、19日間、留置場で過ごすことになりました。
そこから、アルコールを断つという決心がつきました。」

そう語る福岡雅樹さんは、アルコール依存症の母親から虐待されて育ちました。

福岡さんは昭和52年、新宿歌舞伎町から歩いてて20分ほどの新宿6丁目で、父親が40歳、母親が39歳のときに生まれました。

一夜城、建っては消える、夢の街。

福岡さん一家は、その街が発する妖気をあたりまえのように庭とし、家としました。

父親はゴールデン街の近くでバーをやっていて、母親も歌舞伎町で屋台を経営していていました。

福岡さんが生まれ育った新宿6丁目のアパートの部屋は、アルコールとタバコの臭いにまみれていました。
福岡さんはそれが子育てをする家庭環境として異常だったということが、自分の足で友達と付き合うようになるまで、わかりませんでした。

友達の家に遊びに行ったときに、そこがあまりにも無臭だったため、かえって気持ち悪くさえなったのです。

福岡さんの母親は、福岡さんが物心ついたきには、起きているときには間断なく、酒を飲むようになっていました。

夕方になると化粧をし歌舞伎町の店に出勤し、記憶をなくすまで飲み、明け方に酩酊状態でアパートに帰ってきて、暴れ出す…

両親の出勤後、福岡さんはアパートの部屋でひとり、テレビを見ながらコロッケ1個の夕食で、飢えをしのぎました。

たまに家族3人がそろって食卓を囲んだかにみえても、すぐにケンカになってしまいました。

母親が父親の心臓をめがけて包丁を振り下ろし、父親がそれを拳1つギリギリのところで止める、ということを、何度も、繰り返し目の当たりにしました。

福岡さんは、当時を振り返って、家族で楽しかった思い出よりも、辛かった思い出ばかりが脳にはりついていて、両親の笑顔も思い出せないといいます。

福岡さんが、家族がうまくいかない原因が、母親がアルコールを飲んでからまるで別の生き物のようになるからだと気づいたのは、小学校3年生くらいのときでした。

毎日学校から帰ると、酒気を口からラフレシアのようにまき散らしながら眠る母親を起さないよう、細心の注意を払い、抜き足差し足、台所に行きます。

そして、一時しのぎだとわかっていても、その透明な魔薬をシンクに流すのです。
それが、日課でした。

福岡さんは、小学校3年生か4年生のころ、母親から複数回の性的虐待を受けました。

まだ幼過ぎて、何を目的に母親が自分の性器を弄んでいるのかわからなかった。

しかし、福岡さんは正直に語ります。

「2回目からは、本能のままに好奇心に身をゆだねていたと思います。
背後から首筋に漏れる、母親の酒臭い口臭も、そのときだけは、気持ち悪いと感じなかったのです。
それは性的快感なのか、愛情を甘受していただけだったのか、…それはわかっていなかったと思います。
でも、今ならわかります。
自分は、母親に甘えたかった
母の手が自分の性器を弄んでいる間は、その手は決して自分を殴らないし、暴れたりもしないだろうということも、安心材料の一つでした。
そのときだけは、お酒よりも自分の方を向いてくれるということも、嬉しかった。」

今度は福岡さんから、その愛情らしきものに手を伸ばすようになっていきます。
「ねぇ、お母さん、昨日やったやつ、またしようね!」

それは、普通の家の子どもが、「お母さん、昨日行った公園にまた連れていってね」というのと、同じ感覚でした。

しかし、その瞬間に、母親の形相が変わりました。
虚ろで力の抜けていた顔は豹変し、般若のように目がつり上がり、隣の部屋にいる父親にばれないように、斜め下から睨みつけました。

「おい、言ったらぶっ殺すぞ!」と、その目は語っていました。

それでも、福岡さんは、また、その幻想への扉を開けてしまいます。

歯槽膿漏の進行し歯が抜けた母親の口は、アルコールと膿とが混ざった腐臭をまとい、二度と取れないと思うくらい、奥深くまで、沁みついていました。

アルコールは老化を促します。

参考:アルコールが老化をスピードアップ!? 研究結果で明らかに Womens Health

幼いころは美人だと思っていた母親の姿…
いまでは、ところかまわず尿失禁をくり返し、酒を求めて徘徊している老婆。
友達がやっていたドラクエの、「腐った死体」にしか見えませんでした。

石鹸で洗っても、シャンプーで洗っても、その臭いは永遠にとれることはありませんでした。

そんな矛盾の中でも、福岡さんは、また母親の姿をそこに求めにいきました。

しかし、今度は、伸ばした福岡さんの手は、振りほどかれます。

「理解不能でした。悲しさと不安で、しばらく何も考えられなくなりました。」

「母とのその断絶は、母だけではなく、父、いえ、父だけでもなく社会、果ては、世界からの断絶のように思えました。」

「とてつもない喪失感を感じたのは、そのときです。母の手によって汚されたことよりも、短いシラフの時間に正気になった母の手によって拒絶された自分が情けなく、どうしようもなく不愉快で、何もかもが信じられなくなりました。」

以後、福岡さんは、母親に暴力を振るうようになりました。

そして、刃を研ぐように学業に没頭し、誰にも頼らず、一人で生きていくことを決意します。

専門学校を経て東証一部企業への就職を果たしますが、酒の席で上司と喧嘩になり、それが原因となって退職。

恋愛、仕事、あらゆる人間関係が作られては、酒と暴力によって壊れていきました。

こうして、福岡さんの世界に対する認識は、形作られました2

アルコール依存症は、「孤独の病」とも言われます。

ですから、その回復は、薬でも逃避でも、責めることでも、酒をやめさせることでもなく、「繋がり治していくこと」なのです。

妻への暴行による逮捕・勾留後、息子との面会を制限された福岡さんは、病院に通いながらも、何度も酒を飲みます。

たった一人の41歳の誕生日を、安いシャンパンから高いシャンパンまで4~5本買い込み、夜通し飲み続け過ごしました。
それらが全部空いても、他の酒を買い、3日間連続で飲み続けました。

その間ずっと考えていたのは、息子と妻のことでした。
家族に傷つけられ、家族というものをまったく信じていなかった福岡さんにとって、今、もっとも大切なものが家族だということを、41歳になって、深く実感したのです。

3日間続いた孤独な饗宴の後、バースデー1が訪れました。
なんとなく、一日、酒を飲まずに過ごすことができたのです。
そして、次の日も、飲まずに一日が終わりました。

それを次のミーティングで仲間に報告したときに初めて、「回復に向かって、一歩踏み出せた」と自覚できたのです。

それから福岡さんは現在(本書刊行2023年)まで「やめ続ける」ことができています。

福岡さんがアルコール依存症を克服した要因は何でしょうか?

本書では、アルコール依存症から回復は、次の順番で起こると述べられています。

足→耳→口→手

  1. 足…お酒をやめられなくてもいい。とにかく外に出て、仲間に会いにいくこと。まず歩く。
  2. 耳…人の話をとにかく聞くこと。仲間の話をたくさん聞いているうちに、「なぜか今日一日お酒がやめられた」という人が多い。
  3. 口…話したくなったら、徐々にしゃべる。何でもいいから、自分の話をし始める。お客さんではなく当事者として参加することで、グループに入ったという安堵感が生れる。
  4. 手…手助けするということ。ある程度自分自身の回復が進んでくると、仲間を手助けすることができる。それにより、飲んでいる仲間に巻き込まれなくなる。

アルコール依存症の原因は、意思の弱さではありません。

アルコール依存症の患者は、人と繋がりたくても、そのやり方がわからなくて、そういう環境に行けずに、もがいているのです。

アルコール依存症は、死ぬ前の最後のSOSです。

「自己責任」の名のもと患者を責め、「やめさせよう」としても、何も進展しません。

それが仮に成功したかにみえても、新たな依存関係を作り出したに過ぎず、孤独をさらに深めるだけなのです。

人が誰かを頼るのを「許せない」人は、アルコール依存症の患者と同じように、孤独に耐えている人です。
沈んでいる途中であり、また、そこまで達していないに過ぎません。

そして、そこまで沈んでしまったときに頼れるのは、同じ境遇にいる(いた)、彼ら彼女らです。
彼らは彼女らは、あなたの助けを求める声を拡声器のように大きくし、代弁してくれているのです。

だから、上記の回復への4つのステップに、僕はもう一つ、付け足します。

患者を含む人間・世界全体が、依存症への理解を深め、それぞれに依存することを許しあうこと

アルコール依存は、僕たち全体の回復への第一歩であり、プロセスです。

アルコールで失敗し、社会的制裁を受けた経験を口外すること自体リスクになるし、プラスに働く要素が少ない。
数年前までそう思っていたのだが、そのどうしょうもない失敗や逆境体験を話すことで、救われたり、笑ってくれたり、その日の過ごし方が変わる人も少なからずいることがわかった。

マイナスをプラスに変えられる。

そのマイナスが大きければ大きいほど、人のココロに届くパワーを秘めていることもわかった。
セカンドチャンスを認めない日本で、マイナスをしっかり過去の失敗だと語り、迷惑をかけた方々に謝罪をし、それはどういう過程の中で陥ってしまった失敗なのか、そしてどういう仕組みでそういう精神構造になっていってしまったのか。そこに目を向け、自分自身と向き合う

それがしっかりできれば病気は回復し、全く違った人生を歩むことができる。

引用:飲む人は読んではいけないアルコールの話 福岡雅樹 note

福岡さんの語る言葉は、今日も、誰かを助けています。

共著者のソーシャルワーカー斎藤さん。
自助グループのベテラン参加者に仕事の悩みを相談してカタルシスを得る「自助グループ依存症」です。

そして、もう一人の共著者、竹内先生。
「医者は患者を治せない」と豪語し”リビング・レジェンド”の異名を持つ依存症回復専門医です。

彼らも、福岡さんに助けられている、仲間です。

そして、僕も…

https://twitter.com/Kazu_charmcoach/status/1777529815802978599

本書ではこのほか、

  • 世界の依存症への驚きの最新のアプローチ手法(覚せい剤依存者に注射器を渡す!?”ハームリダクション”の実際)
  • 齋藤さんが教える依存症患者と接するとき何より優先していること(「底づきに付き合う」とは?)
  • 百戦錬磨の竹内先生が教える良い医者と運命の出会をしたときの条件(腕の良さではなく〇〇)

などなど、日本のトップを走る依存症の専門家の経験談があふれ出していますので、ぜひ手に取ってみてください。

 
 
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