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さて、今日のお話は…
「与えよ、さらば与えられん」ー新約聖書(ルカによる福音書第6章)
他人にギブすると、自分のいる世界を良くすることができるのか…
「世の中はクソ」と言い放つ、ハーレイ・ジョエル・オスメント演じる11歳の少年トレバーの、身体をはった社会実験。
ただ、この話は「与えてくれた人に直で返す」(back)のではなく、「次の人に渡す」(forword)という違いがある。
ここが、この話のミソ。
物語は、名優ケビン・スペイシー演じる社会科のシモネット先生が、中学校1年の生徒たちに課題を出すことで動き出します。
先生は教室の黒板にこう書きました。
「世界を変える方法を考え、それを実行してみよう!」
(Think of an idea to change our world-and put it into Action)。生徒たちは次に次に不平をもらします。
でも、トレバーはあることを考え出しました。それが「ペイ・フォワード」の思想です。
ペイ・フォワードとはひとりの人が3人に何か善いことをします。善いことをされた3人が、またひとりひとり他の3人に善いことをします。3人が9人に、9人が27人に、27人が81人に、81人が243人に…どんどん増えていって「善意の連鎖」が起きてきます。その結果、世界がよりよく変わるという考え方です。
引用:『ペイ・フォワード』に学ぶ「恩送り」とリーダーシップ ARTHSHIP CONSULTING
引用元:コロナ禍でSNS拡散『ペイ・フォワード』の奇跡とは? 19年前の関係者を取材 マイナビニュース
アル中シングルマザーの母親に十分な愛情を与えらないまま育ったトレバーは、否定的な世界観を抱いている。
しかし、シモネット先生の、「もし可能だったら?」という問いかけから、トレバーの思考、そして行動は動き出す。
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トレバーの最初のギブは、ヤク中ホームレスのおっちゃんを家に泊めて食わせてあげること。
しかし、おっちゃんはヤクに再び沈んでしまい、ギブを繋げない。
2人目のターゲットであるシモネット先生も、せっかく母親とうまくいくようにディナーをセッティングしてあげたのに、顔のやけどのコンプレックスや、平穏な日常を変えることの防衛本能から、一歩踏み出すことができない。
3人目、いじめに遭っている同級生に対しても、いじめっ子が怖くて助けてあげられない…
トレバーは、人間が持つ「現状維持をしようとする防衛本能」にぶち当たり、挫折しかける。
ギブが生み出す「完全な世界」など、夢物語だったのだろうか…
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しかし、返報性の法則は真理。
ギブを受けた人が抱く「モヤモヤ」は、出口を見つけるまで滅しない。
ホームレスのおっちゃんは、橋から投身自殺しようとしていた女性を見た時、ヤクを飛び越える「モヤモヤ」に従い、「私のために死なないでくれ、コーヒー飲もう!」と女性に笑顔を与え、救いだす。
ギブって「返ってくるもの」のために行うのではなく、ギブすること自体が既に救いなんだな。
シモネット先生は、11歳トレバー少年からの「勇気たらんわ」という叱咤をうけて、「無意味な人生はもうたくさんだ。私を見捨てないでくれ」と弱さをさらし、トレバーの母親をしっかりと求め、二人は抱き合う。
その愛を受けた母親も、自分を虐待していた母(トレバーの祖母)と向き合い、彼女を許して、一緒に住もうと招き入れる。
そして、許しというギブをもらった彼女は、それを、窃盗犯を車に乗せて逃がすことで繋げ、窃盗犯は、負傷して順番待ちしていた病院で、重症なのに気づいてもらえない患者に順番を譲り繋げ‥
トレバーの小さなギブは、大きくなりながら、全米に波及していく。
そして、トレバーが救えなかった、いじめに遭っている少年。
トレバーはを自らを奮い起こして、いじめっ子に立ち向かう。
それを目撃し、トレバーを助けるべく駆けつける、シモネット先生と母。
しかし、一歩及ばず、いじめっ子が持っているナイフが、トレバーを貫いてしまうのだった…
彼の不遇な生い立ちがもたらした、「強さ」が関係しているのかもしれない。
…
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トレバーを失った悲しみは、彼から始まった愛を受け取ったたくさんの人々を、その元に集わせる。
トレバーが不器用に始めた、愛の連鎖。
彼が想い描いた「完全な世界」は、もしかしたら、不完全な人間には実現できないのかもしれない。
しかし、人は、学ぶことができる。
俺たちが、トレバーが遺してくれた物語りに向き合い、pay forwordしていくことで、その世界に限りなく近づくことはできる。
そんな、人間全員で作る、「可能な世界」に、俺たちは住んでいるのだ。
ギブ力とは何なのか、どうやって身に着けていけるのか…
トレバーのギブを活かして、一緒に学んでいこう!
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