こんにちは、こんばんは、かずで!
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さて、今日のお話は…
作品情報
『きっと、うまくいく』(英語:3 Idiots)は、2009年公開のインド映画。したまちコメディ映画祭では、『3バカに乾杯!』のタイトルで上映された。
2009年の公開当時、インド映画歴代興行収入1位を記録した大ヒット映画。
インドの工科大学の寮を舞台にした青春劇であり、コメディ映画だが教育問題をテーマにしており、若者の自殺率の高さなども取り上げている。2010年インドアカデミー賞では作品賞をはじめ史上最多16部門を受賞した。
邦題の『きっと、うまくいく』は本作のキーワードである“Aal Izz Well”(アール・イーズ・ウェル、“all is well”の視覚方言)を訳したものである。このフレーズの由来はイギリス統治時代のインドで夜警が街を見回りながら口にしていた言葉であるという。
スティーヴン・スピルバーグは「3回も観るほど大好きだ」と絶賛しており、本作のスポンサーであるリライアンス・ADA・グループはスピルバーグの経営する映画制作会社ドリームワークスにも1000億円以上の出資をしている。ブラッド・ピットも「心震えた」とコメントしており、インド以外でも高い評価を受け、各国でリメイクが決定している。
日本では2013年5月18日に公開が開始され、「Yahoo!映画作品レビュー」5月19日付で1位、ぴあの調査による公開初週映画の満足度ランキングも1位となった。第37回日本アカデミー賞では優秀外国作品賞を受賞。
主演のアーミル・カーンは若々しい大学生役を演じたが、実年齢は当時44歳である。当初はもっと若い俳優を起用する予定だったが、カーンは「是非やりたい。やらせてくれるなら若く見えるように体を絞る」と言い、撮影期間中は肌をフレッシュにするため水を1日4リットル飲んで臨んだという。また、R・マドハヴァンも当時39歳、シャルマン・ジョシも30歳だった。
引用:wiki※太線はかずが付した
一言で言うと、競争社会に一石を投じる、社会派コメディ映画です。
インドでの競争社会とは、どのようなものなのでしょうか?
インドではかつて、カースト制度という身分制度が採られており、今でもその影響が根強く残ります。
卑しいとされる下層階級の人々は上位カーストによる暴行や貧困などで苦しみ、さらには結婚や就職などで、生まれという”フィルター”にはじかれ、厳しい生活から抜け出せません。
そのような被差別階級が”フィルター”を乗り越える突破口が、新しいビジネス、IT産業だったのです。
参考:カースト制度とは?意味や階級、現状、日本のカーストについても簡単に解説!rekisiru
ところが、そのような夢見る人々が突破口に集中するすることによって、新たなボトルネックが生じました。
IT技術は通常、工科大学によってでしか学べません。そして就職先企業は、有名大学卒の肩書を重視します。
それによって生じるのが、そう、受験戦争です。
IT業界への就職熱に一役買っているのが、ヒンドゥー教のカースト制度。
バラモン(司祭)、クシャトリヤ(武人)、バイシャ(庶民)、シュードラ(隷属民)の四つの「ヴァルナ(原意は肌の色)」は日本でも知られているが、さらに細かい「ジャーティ(原意は生まれ)」という職業カーストに分かれており、その数は3千とも言われる。
カースト差別は憲法で禁止されているとはいえ、インド社会には結婚などに今も色濃く残る。農村部では被差別カーストが世襲の職業以外に就くのは難しい。高カーストからの外圧があるため、被差別カーストが自粛することも多い。
しかし、都市部での新しい職種のIT業界なら、こうした職業カーストの枠を乗り越えられる。被差別カーストの出身でも才覚と努力で社会的な成功と高給を手にするチャンスがあるのだ。
…
バイブラントの年間の授業料は、インドの1人当たりの年間所得に匹敵する約2000ドル(約22万円)で、これに寮費が加わり、一般家庭に重くのしかかる。
それでも、とジャインさんは言う。「母親が付き添って寮に住み込み、父親が仕送りを続ける。子供の将来の成功のため、家族がスクラムを組んで闘う。激しい競争がスタートする年齢は年々、早まっています」。
…
しかし、激しい競争は「副作用」も伴う。IIT入試には本人の夢だけでなく、家族の期待も重くのしかかる。成績が伸びずプレッシャーに耐えられなくなり、自殺する子供たちが相次いでいる。
政府当局の統計によれば、15年には約2600人が試験の成績不振を理由に自殺した。天井の扇風機にひもをかけて首をつるケースが後を絶たないため、バネを取り付けて一定の重みがかかると、天井から外れやすくした機種が売り出された。
…
受験生のデバンシュ・ビシュワカルマさんは、東部の田舎町からコタの大手塾に入ったものの、15年6月に自ら命を絶った。18歳だった。基礎学力が足りず、塾でテクニックを習っても勝てない。そんな悩みが遺書に切々とつづられていたという。
伯父のプリトビラージュ・ビシュワカルマさん(57)は悔やむ。「おいは模擬テストの点数をいつも気にしていました。親に経済的な負担をかけたくない。そんなプレッシャーも感じていたと思います」
引用:インド工科大はカーストを乗り越えるパスポート 苛烈な競争、自殺相次ぐ GLOBE+ ※太線はかずが付した
このような学歴社会への批判を描く本作ですが、コメディとしての要素も大きな魅力の一つです。
自由奔放な本作の主役、ランチョーがインド屈指の難関工科大学ICEの教育(型はめ訓練)をひらりとかわし、くぐり抜けていく”とんち”には、一休さん的アウトロー・ユーモアがあります。
ところどころに挿入されるおバカダンスも、ノリノリで楽しく、ミュージカル映画としても素晴らしいです!
ストーリー(概略)
他力本願でざっくりストーリーを解説!
本作のざっくりストーリーや見どころについては、YouTubeチャンネル「ものがたり起業®️」さんがまとめてくれているので、乗っかります。
主な登場人物紹介
ランチョー
本作の主役。
自分の情熱に従うことを第一義としている、自由奔放な青年です。モットーは「Aal Izz Well」(うまくいく)。
- 「成功を追うのは間違いだ。優秀なら成功はついてくる」
- 「マヌケ生産工場」
- 「試験は何度でもある。だが父親は一人だ」
競争社会に疑問を抱いていて、そのシステムに乗っかる学長やチャトルと度々衝突します。頻繁に授業を追い出されたりしていますが、なんと成績は首席。発明の天才で、その場のありあわせで器用に道具を作り出し、何度もピンチを乗り越えます。
ユーモアセンスも抜群。その魅力に引き寄せられ、インド屈指の難関工科大学ICEの「ベルトコンベヤー教育」に飲まれそうになっていたファルハーン、ラージューは目を覚ましていきます。
その中には学長の娘、ピアも加わります。
僕の理想です。
この彼の魅力は、どのような心構えや信念から生まれたのでしょうか。本作で学ぶべきポイントは、そこにあると思います。
ファルハーン
眼鏡をかけた丸顔の色黒青年で、ランチョーの親友のひとり。本作のナレーションを務めます。
実家は平凡な家庭で、父親からは産まれた瞬間からエンジニアにすると決められてしましました。
ファルハーンは、本当は工学よりも動物の写真撮影の方が好きなのですが、彼の父は息子に勉強させるために給料の大半を学費に充て、自分の部屋にはないクーラーを設置してくれます。
ファルハーンは父に頭が上がりません。
彼は父親の言いつけ通り、エンジニアの道を進むしかないのでしょうか?
ラージュー
ほっそりしてます。家が非常に貧しい苦学生で、ランチョーの親友のひとり。家族の生活を背負っているため常にプレッシャーに苛まれています。
いつもお守りの指輪や信仰を手放せません。
父親は脳卒中で半身不随。工学を愛しており、高校以前はとても優秀でしたが、なぜかICEでの成績はギリギリで合格ラインなのです。
彼の勉学への意欲を阻んでいるものは、何なのでしょうか?
ピア
本作のヒロインでヴァイラス学長の娘。医学生です。兄がいましたが、「ある理由」で亡くなっています。
地位や財力を目当てに寄ってきた「値札男」と婚約していますが、ランチョーと出会い、恋に落ちてしまします。
ヴィールー
ICE学長。ランチョーからは「ウイルス学長」と陰口をたたかれる、頭カチコチ効率主義者です。
「人生は殺し合いだ。必死で走らないと、落される」
時間を節約するために、両手で文字を書けるという特技があります。
チャトル
実家が裕福で嫌味な男です。通称「サイレンサー」で、頭をムリヤリ働かせる謎の薬を服用することでものすごいクサイすかしっ屁をすることから、このように呼ばれます。
勉強熱心ですが、何事も教科書通り記憶しテストでよい点数を取るだけで、他者に伝えるわかりやすさや物事の本質を突き詰めようとはしません。
それだけならまだカワイイのですが、さらに、相手を蹴落とそうとする。テスト期間には、エロ本を寮の学生の各部屋のドアの下に滑り込ませて回ります。
ランチョーと対極のキャラクターであり、勉強ばかりしているのにランチョーに負けているため、彼を敵視しています。
ランチョーが仕掛けたある「いたずら」でメジャーリーグ級の赤っ恥を欠かされ、「10年後どっちが成功しているか、再会して確かめよう」と挑戦状をたたきつけます。
本作の物語りは、このチャトルのこの挑戦を発端に、行方不明になったランチョーを探す旅からはじまります。
チャトルは、そのころ、大会社の副社長になっており、最高ランクのランボルギーニ・ディアブロに乗るほど経済的には成功し、高名な発明家と契約を行う大事な取引を控えています。
さあ、ランチョーはちゃんと生きているのでしょうか?もしそうなら、今はどうなっているのでしょうか?
かず考察
突然ですが、あなたは、「機械」の定義を言えるでしょうか?
wikiでは、機械(macine)とは、「ある力が有用な働きをなし、あるいは他のエネルギーの形態に変化する力の伝達を行うような装置の総称であり、器具(implements)または道具(tools)と区別された、2つ以上の抵抗物を組み合わせて互いに相関的運動を行う工作物」とされます。
物語りでは、講義でこの問題が出され、チャトルが上記のような教科書的回答をして「正解」していました。
これに対して、ランチョーは、機械とは、「人の時間を節約する物」と目的的思考によりシンプルに定義し、ズボンのチャックもこれに入るとして、みんなに上げ下げして見せます。
ランチョーの回答は「不正解」。理由は、教科書にはないから。そして、余計な事を言って学生たちを「堕落させた」彼は、教室からの退出を命じられるのです。
しかし、彼の言動は真理をついており、人間性の奥にある「情熱」を掻き立てるため、ファルハーンやラージューはその台風の目に巻き込まれて行きます。
そう。情熱。
「成功を追うのは間違いだ。優秀なら成功はついてくる」
日本でも「好きこそものの上手なれ」と言いますが、「優秀さ」とは、情熱なのです。
では、その情熱を阻んでいるものは何なのでしょうか。本作では「学歴」「肩書」「財力」などで象徴されていますが、その本質は何かが問題となります。
ファルハーンは、動物写真を撮ることが大好きだったのですが、自分をどうしてもエンジニアにしたい父親に口答えできず、自分を殺してしまっています。ランチョーは彼を「半死」と揶揄します。
もう一人の親友、ラージューは、機械が大好きだったのですが、自分がキチンと就職して貧しい家族を養わなければならないというプレッシャーにいつもビクビクしています。ランチョーは、彼を「臆病」と揶揄します。
これらに共通することは、「恐れ」です。
稼げるエンジニアにならなければならない、そのためには大学でいうことを聞いて口答えしてはいけない、という「枠」。
その枠から自由になることを、彼らは恐れているのです。
そんな彼らがが、ランチョーの情熱的な羽ばたきに触発され、変わっていきます。
- 下半身不随のラージューの父親が死にかけたとき、自分に縛り付けてバイクで病院まで爆走して試験当日の朝まで付き添う
- ピアを奪おうとする”値札男”のイタリア製高級革靴にソースをぶっかけて、本性を暴いて逃げる
- ピアの姉ちゃんの緊急の出産を任され、お手製の吸引機を作って赤ちゃんを引っ張り出す
ファルハーンは、あくまで写真家になることを反対する父親に、「僕は自殺はしない。お父さんを悲しませたくないから。だけど、いままでずっといい子だった。一度くらいわがままを聞いて」と誠実に訴えます。
ファルハーンの父は、「自分の人生を生きろ」とOKを出します。
ラージューは、やっと掴んだ企業との面接で、自分が退学処分となるプレッシャーに耐え切れず自殺未遂をしたことを正直に打ち明けます。採用担当者の「その正直さは見事だが、わが社にきたら隠し通せるか?」という誘惑にも、NOを突き付けます。
ラージューが帰ろうとした矢先、採用担当者は、「これまで長年採用担当をしてきたが、他の奴らはみんな取り入ろうと必死だった。こんなに正直な奴は初めてだ。」「希望の給料額は?」と彼に門戸をひらきます。
そして、あんなに忌み嫌っていた、学長も…
情熱は、伝染するのです。
どんなトラブルも、その自由なアイデアで波乗りのように乗り越えていく彼のユーモア、そしてそれを生み出す信念は、どこから来るのでしょうか。
彼のモットーは、「Aal Izz Well」(きっと、うまくいく)。
彼が窮地に立たされた時に、胸を叩きながら、これを唱えます。
そこに、根拠なんてありません。
だけど、情熱は確かに存在するのです。
もし神様がいるとしたら、いらないものをわざわざ創り出すのでしょうか?
信じること。それは、手放すことです。
今が全てです。今の情熱で、今を焼き尽くすのです。
人生には、それしかないのです。
そうしてれば、きっと、上手くいく。大丈夫です。
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