抵当権の物上代位による差押えを債権譲渡に優先させやがった最判平成10年1月30日判決をコキおろして【物上代位の判例を一掃】しよう!

最判平成10年1月30日判決を批判する。

これと関連付けて他の重要判例も網羅しており、かつそれを筋の通った一本の論理で整理しているので、本記事1本でややこしい物上代位はバッチリだ!

事案(説明の便宜のため、簡略化)

本件は、抵当権者であるX社が、B建設に対する債権を被担保債権として、Bの所有する「共同住宅店舗倉庫」(以下「本件建物」という。)に抵当権を設定していたところ、Bが同債務を履行しないため、BのY社に対する賃料債権を抵当権に基づく物上代位により差し押さえたとして、Yに対しその支払を求めた事案である。

登場人物

  • X社…金融業を営む抵当権者。
  • B建設…債務者・抵当権設定者・本件建物の賃貸人。代表取締役はb。
  • Y社…本件建物の賃借人・第三債務者。代表取締役はy。
  • C社…B・Y間の賃料債権の譲受人。代表取締役はy(Y社代取と同一人物)。

なお、b、yは大学時代からの20年来の友人である。

事案詳細

Xは、平成2年9月28日にBに対し30億円を貸し付け、本件建物について、被担保債権をXのBに対する貸金債権とする抵当権設定契約を締結し、かつ、その旨の抵当権設定登記を経由した。

Bは、平成3年3月28日、約定利息の支払を怠り、右貸金債務についての期限の利益を喪失した。

翌日、bがX社を訪れ、債務の弁済の見通しは立っているから、本件抵当権の実行を今しばらく待って欲しい旨申し出たところ、X担当者は「社内で検討する」と述べた。

その後、Bは、本件建物の全部をYに賃貸してこれを現実に利用する者についてはYからの転貸借の形をとることとし、平成5年1月12日、本件建物の全部を、Yに対して、

  • 期間を定めずに、
  • 賃料月額200万円、
  • 敷金1億円、
  • 譲渡転貸自由

と定めて賃貸し、同月13日、その旨の賃借権設定登記を経由した(以下、「本件賃貸借契約」という)。

なお、これまでBは、本件建物を複数の賃借人に賃貸しており、その1箇月当たりの賃料は700万円であった

平成5年2月15日、再度bがX社を訪れ、本件抵当権の実行を今しばらく待って欲しい旨申し出たが、今度はすぐに交渉は決裂し、X担当者はbに抵当権を実行すると予告した。

Cは、平成5年4月19日、Bに対して7000万円を貸し付け、本件建物についてBがYに対して有する将来の賃料債権を、上記7000万円の貸金債権の代物弁済として、BがCに譲渡する旨の契約を締結し、Yは、同日これを承諾した(以下「本件債権譲渡契約」という。

ウエノ
ウエノ
ここまでの事例を読んで、「なんかクサイ」と感じ取っていただいたと思う。そう執行妨害である。このスキームについては、後でわかりやすく説明する。

Xは、Bに対する債権を被担保債権として、同人のYに対する賃料債権を抵当権に基づく物上代位権を行使して差し押さえ、同差押命令は平成5月10日にB及びYに送達された。

そこで、Xが上記差押え命令に基いて、BのYに対する賃料債権につき取立権を取得したとして、Yに対してその支払いを求めた。

これに対し、Yは、賃料債権はX銀行による差押えの前に抵当不動産の所有者であるBからCに譲渡され、Yが確定日付ある証書をもってこれを承諾したから、X銀行の請求は理由がないと主張している(=差権譲渡による304条但書の「払渡しまたは引渡し」後の差押え)。

さらにこれに対し、Xは、

  • 「払渡しまたは引渡し」に債権譲渡は当たらない
  • 仮に当たったとしても、Xによる物上代位の潜脱目的であり、権利の濫用(1条3項)であり無効である

と再反論した。

各裁判所の判断のまとめ表

上記論点に対する各裁判所の判断は下の表の通り。

 304条本文が物上代位権者に差押えを要求する趣旨同但書「払渡しまたは引渡し」に債権譲渡は当たるか債権譲渡が権利の濫用に当たるか判決(理由)
一審弁済をした第三債務者及び、債権譲渡を受け対抗要件を具備した第三者、転付命令を得た第三者を保護当たる
当たる認容
(差押え前の債権譲渡が抵当権に優先するが、権利の濫用だから抵当権が勝つ)
控訴審当たらない棄却
(差押え前の債権譲渡が抵当権に優先し、かつ濫用もないから、債権譲渡が勝つ)
最高裁第三債務者保護のみ当たらない認容
(先に公示を備ていた抵当権が債権譲渡に勝つ)

最高裁の判断と疑問

裁判官
裁判官
 304条但書が差押えを要求する趣旨は、二重弁済を強いられる危険から第三債務者を保護するという点にあると解される。

そうだとすれば、同項の「払渡または引渡し」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対
する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。

差押えの機能について、第三債務者保護説を採っている。
ウエノ
ウエノ
裁判官
裁判官
なぜなら、対抗要件を備えた債権譲渡が物上代位に優先するものと解するならば、抵当権設定者は、抵当権者からの差押えの前に債権譲渡をすることによって容易に物上代位権の行使を免れることができるが、このことは抵当権者の利益を不当に害するものとといえるからである。
この必要性の認識は正当である
ウエノ
ウエノ
裁判官
裁判官
このように解したとしても、抵当権の効力が物上代位の目的債権についても及ぶことは抵当権設定登記により公示されているといえ、不当に第三者を害することにならない。
?抵当権つけたことに慢心して、差押えを怠っているやつをいつまでも保護すべきだろうか?
ウエノ
ウエノ

最高裁判例への批判

上記最高裁の判断は、

  1. 抵当権設定登記には「第三者」(債権の譲受人など)に対する公示機能があること
  2. 差押えには上記「第三者」を保護する機能がないこと

が前提となっている。

これに対して、先取特権に基づく物上代位による差押え前に、債権譲渡がされ対抗要件を備えた場合について、債権譲渡を優先させた事例(最判平成17年2月22日)は、抵当権の登記のような公示方法が存在しない先取特権においては、差押えには「第三者」を保護する機能もある旨判示しており、一見、整合性がとれた住み分けがなされ、その結論も妥当のように思える。

しかし、本記事判例の2つの判断は、両者間違っている。

そこで、以下を参考文献に、最高裁判例を批判する。

抵当権設定登記に物上代位の公示機能はない!

抵当権の登記は、不動産に抵当権が設定されていることを公示するものであり、抵当権者が抵当不動産につき優先弁済権を有することを公示しているが、物上代位の目的債権上に優先権を有していることを公示するものではない

そもそも、物上代位の目的債権については、どのような債権が物上代位の目的債権に当たるか否かについても争いがあるのであって1、それにもかかわらず目的債権上の抵当権者の優先権が、抵当権設定登記によって第三者に公示されているというのは、無理な話である(生熊)。

ウエノ
ウエノ
債権の譲受人は、法律の専門家ではない。

通常は、物上代位なんて知らず、知っていても、もらい受ける債権にまでかかってこられるなんて、晴天の霹靂だろう

差押えには「第三者」保護機能もある!

「第三債務者」保護の機能

差押え命令は債務者および第三債務者に送達され、それにより債務者に対する取立て第三者への譲渡等の処分の禁止の効果、第三債務者に対する債務者への弁済の禁止の効力がある(民執193条 2 項・145条 1 項)。

これにより、第三債務者は差押えの効力発生前は債務者に弁済しても物上代位権者に対抗できることとなり、二重弁済のリスクがなくなる

その意味で、差押には「第三債務者」保護という意味がある。

「第三者」保護の機能

さらに、差押えには、抵当権の優先弁済枠と第三者のための一般財産枠を区別(特定性維持)することで、「第三者」を保護するという意味もある。

「第三者」保護は公示でなく利益衡量の問題

上記「第三者」保護の意味について、俺が使っている松井は、

「差押えによって代位物の債務者の一般財産への混入が阻止されて代位物が特定され、物上代位による優先権が及ぶ範囲が明確になるので、第三債務者以外の第三者(差押権者や譲受人)が不測の損害を負うことを免れることになる。」

としている(後掲松井47頁「私見」)。

これは、差押えが第三者に対して公示の機能を果たしている、ということをいっている。

しかし、差押えは上記のように債務者および第三債務者へ差押え命令の送達により同人らが知ることになるにすぎないのであって、第三者には容易にわからず、公示の機能を果たさない。

そうであれば、

  • 差押えは「抵当権者が物上代位による保護」を受けるために要求されるものであり、
  • それによる「第三者」保護の意味は、抵当権者が差押えをしない場合に上記保護が与えられない結果、第三者が優先する

という意味に解するのが妥当である。

差押えには、特権説・優先権保全説「的」な要素もあることになる。

もっとも、その意味を厳密に探究すると、同説がいう「民法が特別な保護を与えたから」という「それをいっちゃ~おしまいよ!」的な理由とは異なり、
差押えにより自らの権利保全のために「眠らなかった」債権者との利益衡量上、それに遅れる第三者は保護されなくともやむを得ない、というのが実質的な理由であると思われる。

ウエノ
ウエノ
「権利の上に眠るものは保護しない」という法諺は、民法においては時効や177条、行政法の申請主義などの随所に垣間見える。法の本質の一つである。

この考えは、本件における原審において、以下のように言及され表わされている(東京高判平成8年11月6日)。

「そもそも一審原告は本件物上代位による差押えを債務者の期限の利益喪失後に直ちにすることが出来たにもかかわらず、それから2年余りの間しておらず、自ら権利行使の時期を失したことも考慮すべきである」

理論で執行妨害対応は過剰!

もっとも、本件では執行妨害が疑われる事情があり、最高裁がこの点を考慮した点は評価できよう。

しかし、このような個別の特殊な事情は、一般条項(権利濫用法理)で対処すべきであり、上記法律構成により一般化して対処しようとすると、以下のような3つの不都合が生じる

➀執行妨害でない債権譲渡が差押え前にされ対抗要件を得たときでも、常に抵当権が優先することになり、上記2つの理由から妥当でない。

②以下の判例との整合性が取れなくなり、説明に窮することになる。

  • 抵当権者による差押え前に一般債権者により物上代位権の目的債権が差押えられて転付命令(民執159条・160条)が得られ場合について、転付命令を優先させた事例(最判平成14年3月12日

    →同判例は、物上代位による差押えは民事執行法159条にいう差押えと同視できるという形式論で理由を示し、本記事判例の射程が及ばないことを示す。
    しかし、転付命令は民亊執行法上の手続きであるとしても、その効果は債権譲渡と同じであるし、「物上代位による差押え前に自己の権利保全のために動いた」(=利益衡量上要保護性が高い)点で対抗要件を備えた普通の債権譲渡と同一に解することができ、本記事判例がこの判例と結論を異にするのは整合性が取れていないといえる。
    なお、このように債権譲渡と転付命令と統一的に把握し、差押え前であれば優先すると解することと、動産売買先取特権の物上代位に基く差押えに先行したはずの一般債権者による差押えが負けるとの判例(最判昭和60年7月19日)との整合性も問題となる。
    この点については、普通の差押えも転付命令も債権譲渡の対抗要件具備も「先に自己の権利保全のために動いた」ことに変わりなく、統一的に把握すべきであり、物上代位による差押え前に差押えた一般債権者は、物上代位に勝つと解するべきである(松井と結論において同旨)。

  • 抵当権による差押え後に、債務者(賃貸人)が第三債務者(賃借人)との間の賃貸借契約を解除し、抵当権者から第三債務者へ未払い賃料の請求がされた場合について、敷金の未払賃料への充当を認めた事例(最判平成14年3月28日)

    →これに対し、目的債権について相殺がなされた場合について、最判平成13年3月13日は、差押後に取得した債権での相殺は物上代位に対抗できないとした。
    これを逆にみれば、差押前の相殺は制限されないとするものであるといえ、本記事判例がとる第三債務者保護説と整合的な判断である。したがって、差押後の敷金の充当を認めた上記平成14年判例と本記事判例・平成13年判例は、整合性がとれていないといえる。
    なお、差押後の敷金充当を肯定する理由付けとしては、平成14年判例がいうように、「賃料債権は敷金の充当を予定した債権」であること、すなわち賃借人の敷金充当への期待の要保護性の高さに求められるべきであり、利益衡量という上記私見で説明可能である。

  • 先取特権に基づく物上代位による差押え前に、債権譲渡がされ対抗要件を備えた場合について、債権譲渡を優先させた事例(前掲最判平成17年2月22日

    →公示のない先取特権の事例であるが、上記のように抵当権設定登記にも物上代位の公示機能がないことからすれば、本記事判例と一緒の判断にならないことは整合性がとれていないといえる。

③そもそも、このように多数の事例で整合性が取れなくなるのは、その理論が間違っているからであり、社会全体に混乱をもたらし続けるから、一般的確実性の観点から、「特殊事例」で片づけていい問題ではない。

一般的確実性とは?

法律解釈というのは、その事例が適切に解決できればよい(具体的妥当性)という問題ではなく、それが広く一般に妥当するかも考慮されなくてはならない(一般的確実性)。

我妻先生から、法律を貫く軸となる考え方を学んでおこう!

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結論の妥当性は、権利の濫用構成で!

上記のように、

  • 最高裁の「抵当権の効力が物上代位の目的債権についても及ぶことは抵当権設定登記により公示されている」という理由付けには無理があり、
  • 抵当権者が保護されるとすれば、その根拠は、「抵当権の上に眠ることなく、第三者が利害関係を有するに至るより先に差押えに踏み出した」ことに求められるべき

である。

そして、本件においては、抵当権者Xは「抵当権の上に眠っていた」。

すなわち、

  • 債務者Bは、平成3年3月28日に期限の利益を喪失
  • 平成5年4月19日にBのYに対する賃料債権をBがCに譲渡(対抗要件具備)
  • Xの差押えにより、平成5月10日に差押え命令送達完了

というように、Xは約2年にわたり物上岱位による差押えをせず、その優先権を保全しようとはしなかった。

そうであれば、本件では債権譲渡が優先し、Xは敗訴するのが原則である。

しかし、本件債権譲渡は執行妨害と認められるから、権利濫用構成によりこれを無効(1条3項)とし、Xの請求を認めるべきである。

権利の行使といえど、社会的に許容される限度を超えており、公平の見地から認められない場合がある。

民法1条3項はかかる場合を権利の濫用として、例外的にその権利行使を阻止しうることを定めている。

そして、権利濫用にあたるかは、公平性を実質的に判断するために、➀客観的利益考量だけでなく、②当事者の主観的な状況も考慮をして、総合的に判断するべきである2

本件について、まず①客観的利益衡量を行う。

➀客観的利益衡量

結論として、仮に債権譲渡を有効性・優先性を認めた場合、B・Y・Cには何の利益も不利益も生じず、他方、Xは物上代位の行使を阻まれ、多大な不利益が生じることになる。

ウエノ
ウエノ
ここから、本件の執行妨害スキームの核となる部分の説明に入っていく。
ちょっと複雑だが、図を書いて整理すると、「なるほどな~」となるよ。

B・Y・Cには利益も不利益もない

平成5年1月12日、BはYと本件賃貸借契約を締結したが、その際、従前の賃料の合計は月額700万円で、敷金の合計は3000万円であったものを、賃料月額200万円と極めて低額にし、その代わり敷金を1億円と高額にした。

BのYに対する賃料債権は適正価格より500万円も低く半額以下になるのであって、Bにとって不利益となるとも思える。

しかし、本件債権譲渡契約により、Bが本件賃貸借契約により生じる不利益は解消される。

すなわち、本件債権譲渡契約によりBが得られる利益は7000万円であるのに対し、Cが得られる賃料債権は上記のように低額となっており、Cの不利益のもと、Bが利益を得ることになり、本件賃貸借契約により生じる上記不利益は解消されている。

では、本件債権譲渡契約により生じるCの不利益はどうなるのか。

この点につき、Y代表取締役yはCの代表取締役でもあるところ、Yは本件賃貸借契約に基づき、テナントと適正価格で賃貸借契約を結び直すことができ、それによる利益は実質的にyの利益にもなるから、yを介して、Cの上記不利益は実質的に解消されている。

このように、本件賃貸借契約と本件債権譲渡契約を一体としてとらえると、B・Y・Cには何の利益も不利益は生じていないことになる。

Xは物上代位による債権回収を阻まれ、不利益を受ける

BはYとの間の本件賃貸借契約は、従前は賃料700万円・敷金3000万円であったものを、賃料200万円・敷金を1億円にしたものである。

Yの債務不履行が生じた場合、高額の敷金がわずかな賃料に充当され、Xの物上代位の引き当てとなる賃料債権の価値が著しく低下する。

それだけでなく、本件債権譲渡契約が有効であり、物上代位に優先すると認められれば、Xの物上代位は完全に阻まれる。

以上から、本件賃貸借契約・本件債権譲渡契約は、Xの利益を一方的に害するものであるといえる。

②主観的状況

次に、本件における主観的状況について検討する。

この点については、

  • 平成5年2月15日、B代表取締役bはX担当者から抵当権の実行を予告されているのであり、その後平成5年4月19日の本件債権譲渡契約時において、Bは、Xが抵当権の物上代位に基づく賃料債権の差押えによって債権の回収を図ることを十分予想していたこと、
  • Bの代表取締役bと、Y・C代表取締役yは20年来の付き合いがあり、物上代位潜脱のために協力関係を結びやすい親しい関係にあること
  • そして何より、本件賃貸借契約・本件債権譲渡契約それぞれが、経済上不合理で不自然なものであること

から、上記スキームは、B・Y・Cが結託して、Xに本件賃料を取得させない意図をもってしたことが推認できよう。

結論

以上かから、本件債権譲渡契約は、本件賃貸借契約と一体となり、Xの物上代位妨害目的で行われた者であり、権利の濫用であるから、Yの反論は認めれない。

よって、Xの請求は認められる。

Yの転貸賃料債権に物上代位は不可?

Yのテナントに対する転貸賃料は適正価格であり、Xは、これに代位できれば優先弁済が得られるが、可能か。

この点につき、判例(最判 平成12年4月14日)は、「 抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。」として、原則不可、例外許容という結論になっている。

そして、上記「抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合」とは、所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当」といえる場合としている。

本件では、BとYとは代取b,yが仲良しとはいえ異なるから、「法人格濫用」とはいえないであろう。

また、本件賃貸借契約も、本件債権譲渡契約後にYからCに半年ほど継続して200万円が振り込まれており、契約通りのお金の流れがあるから、「賃貸仮装」までは言いにくいだろう。

したがって、本文で書いたように、権利濫用法理により債権譲渡を否定する他ない。

参考にした基本書

  • 松井宏興『担保物権法』
  • 佐久間毅『民法の基礎1総則』

この基本書のレビューはこちら↓

歯に衣着せぬ司法試験の基本書レビュー

参考記事

権利濫用の使い方を、司法試験の過去問の事例から見返して、応用力を鍛えよう↓

司法試験平成29年過去問検討 民法(改正対応)

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